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- 学校歯科医からのアドバイス
こどものころの生活習慣が、大人になってから、ひいては一生の歯の健康を左右すると言っても過言ではありません。
食べるとき、好き嫌いがないことやよく咬むこと、食べたあとは必ず歯磨きをすること、おやつは食べる時間を決め甘いものを控えめにするなどの習慣を身につけさせることが、生涯にわたってお子さんの歯を守ることにつながります。
学校に通っているお子さんであれば、学校歯科医により就学時の健康診断や定期の健康診断、歯磨きの方法など保健指導を受けられる機会があるかと思います。そのような機会を生かしてもう一度、お子さんの生活習慣を見直してみましょう。
学校歯科医とは
学校歯科医は、「学校保健法」により、大学を除く学校におかれる非常勤の専門職です。
学校内でおこなわれる歯科健康診断や学校における歯科保健指導に携わっています。
学校歯科医が教える虫歯予防ポイント
一番大きな「6歳臼歯」を守る
虫歯になりやすく、大切な「6歳臼歯」
「6歳臼歯(第1大臼歯)」とは、ちょうど6歳ごろに生えてくる永久歯で、一番大きな歯です。
虫歯になりかかっている6歳臼歯「6歳臼歯」は、名前の通り、6歳前後にお口の奥の狭い場所に生えてきます。 ですが、6歳ごろのお子さんは、まだ十分に歯の奥まで磨くための手指の運動能力が備わっていないので、どうしても磨き残してしまい、虫歯になりやすいといわれています。
「6歳臼歯」の寿命は、永久歯の中で一番寿命が短く、女性が約47歳前後、男性が約53歳前後となっています。しかし、同時に、この「6歳臼歯」は、咬み合わせ・歯並びのキーとなる歯でもあり、もっとも食べ物をかみ砕く能力が高い歯でもあります。
「大事な「6歳臼歯」を守るためには、お母さん・お父さんが、こどもの歯磨きを手伝ってあげることも方法のひとつです。歯磨きを手伝うことによって、正しい歯磨きを覚えさせ習慣づけさせるようにしましょう。
「6歳臼歯」を守る「フィッシャーシーラント」
「6歳臼歯」や乳歯の奥歯を守る方法のひとつとして、「フィッシャーシーラント」という方法もあります。
フィッシャーシーラントの処置をした6歳臼歯虫歯になりやすい歯の溝をあらかじめ、レジン(歯科用プラスチック)などの歯科材料で一時的に埋めてしまう方法です。この方法であれば、健康な歯を削ることなく虫歯を予防・抑制することができます。
ただし、「フィッシャーシーラント」をしたからといって、決して虫歯にならないわけではありません。お子さんに「6歳臼歯」が虫歯になりやすい歯であることを認識させ、生活習慣を見つめ直させることが最も重要です。
実際に「フィッシャーシーラント」をするのであれば、かかりつけの歯医者さんで、お子さんの歯が本当に「フィッシャーシーラント」に適応しているかどうか、かみ合わせや将来の歯並びに影響がないか、よく相談するとよいでしょう。また「フィッシャーシーラント」が歯から脱落した場合に対処するために、かかりつけの歯医者さんで定期的な検診をしてもらうことも重要です。
フッ素が歯を守る
「フッ素入り歯磨き粉」で虫歯予防
フッ素には、唾液による再石灰化を助け、ミュータンス菌の活動を抑制して歯質を強化するはたらきがあり、虫歯予防に効果があることがわかってきました。一般に販売されている歯磨き粉の多くにも、フッ素が含まれるようになってきています。フッ素入り歯磨き粉を継続的に使うことは虫歯の予防に効果的です。
フッ素の働き
フッ素がエナメル質(歯の表面の層)にふれると、エナメル質の結晶が硬く強いものに変化し、虫歯の原因菌に対する抵抗性が高くなります。虫歯になりかかった部分には、フッ素が取り込まれ易く、その部分を修復する現象(再石灰化)を促し、虫歯の進行をおさえます。
フッ素は、歯に対する効果のほかにも、お口のなかの環境にも作用します。虫歯は、虫歯の原因菌のつくり出す酸によって発生しますが、フッ素は、その酸をつくり出す原因菌の働きも弱めます。
ただし、フッ素入り歯磨き粉を使うことによって100%虫歯にならないかというと、そうではありません。また、フッ素入り歯磨き粉を使う量や、ブラッシング・うがいの仕方によって効果も異なってきます。かかりつけの歯医者さんで正しいフッ素入り歯磨き粉の使い方を指導してもらうとよいでしょう。
お子さんにも喜んで使っていただける、さまざまな味のフッ素ジェルなどもあります。
写真提供:(株)オーラルケア
「フッ化物洗口」を取り入れる学校も
一般的なフッ素入り歯磨き粉を使った虫歯予防のほかに、「フッ化物洗口」という方法があります。
「フッ化物洗口」は、フッ化ナトリウムの水溶液を口のなかでブクブクうがいする方法で、毎日おこなう週5日法と、週に1回程度おこなう週1回法の2つがあります。「フッ化物洗口」は、家庭内で行なう虫歯予防としては、最も簡単で有用な方法とされ、また、学校の歯科保健指導の一環としても広くおこなわれています。
また、歯科医院や薬局で、フッ化物の顆粒剤が洗口液とセットで販売されている場合もあります。ただし、フッ化物の顆粒剤は劇薬扱いになっている場合もありますので、お母さん・お父さんが洗口液と顆粒剤の調整をおこなってください。
洗口液は誤って飲んだとしても急性中毒の危険はありませんが、顆粒剤は、お子さんの目の届かない場所に保存し、使用にあたっては、学校歯科医やかかりつけの歯医者さんと、よく相談してからおこなうことが望ましいでしょう。
フッ化物洗口液
写真提供:サンスター(株)
市町村の健康診断などや歯科医院で実施される「フッ化物塗布」
「フッ化物塗布」とは、虫歯の予防として比較的高濃度のフッ化物溶液、またはゲル状の物質を歯医者さんや歯科衛生士さんの手により、歯に直接塗る方法です。年に数回、定期的にフッ化物塗布をおこなうことによって、虫歯に対する予防効果を得ることができます。乳幼児では、乳歯を虫歯から守る方法のひとつとして、また、学校歯科医のいる学校においては、虫歯のリスクが高い児童に対して、学校歯科医の指示で行なわれることがあります。
矯正歯科治療中の方に対しても、虫歯のリスクが高い場合はおこなわれています。
フッ化物塗布は、市町村によっては、保健所などの乳幼児歯科健診の際に、希望者に対していっしょにおこなわれることがあります。また、フッ化物塗布は、歯科医院でおこなうことができます。市町村や地域の歯科医師会のホームページなどでフッ化物塗布ができる歯科医院のリストを公開しているところもありますので、このようなリストに掲載されている歯科医院やかかりつけの歯医者さんに、フッ化物塗布を相談するとよいでしょう。