- ホーム
- 赤ちゃん・こどもの歯の心配事
歯はいつから生えてきますか? 生えてきたら注意すべきことは?
通常、乳歯が生えはじめるのは生後6ヵ月ごろですが、乳歯の生える時期には個人差があります。
なかには、生まれたときから歯が生えていたり(先天歯)、生後まもなく歯が生えたり(新生児歯)することもあります。心配されることはありませんが、授乳が困難になったり、お子さんが口の中をケガしたりするような危険がある場合は、小児歯科医にご相談ください。
先天歯
乳歯は、大人の歯に比べて虫歯になりやすいものです。歯が生えてきたら、虫歯にならないよう、歯ブラシでお口のなかを清潔に保ってください。
また、虫歯の原因となる細菌は、お母さんからお子さんに感染することが多いとされています。
お母さん自身がお口のなかを清潔にすることが、お子さんの健康を守ることにつながります。加えて、離乳食を与える際に、口移しをしたり、スプーンやおはしを共有したりしないようにも気をつけましょう。
歯ぐきに白いやわらかいブツブツができてきました。大丈夫でしょうか?
上皮真珠
おそらく上皮真珠と呼ばれるものだと思います。
乳歯をつくるための組織の残りです。生後6ヵ月もしないうちに消えますので、ご心配ありません。 ですが、授乳が困難になったり、お子さんが口の中をケガしたりするような危険がある場合は、小児歯科医にご相談ください。
歯磨きはいつからはじめたほうがいいですか?
乳歯が生えてきたら、歯磨きを開始してください。
通常、生後6ヵ月ごろに、まず下の前歯が生えていきます。乳児の歯は虫歯になりやすいので、しっかりと汚れを落としてあげましょう。
また、虫歯予防には、歯磨きだけではなく、正しい食生活を身につけることがなによりも大切です。母乳や哺乳ビンを与えながら寝かしつける習慣は、離乳が完了する前の時期(9~11ヵ月)までにやめるようにしましょう。
おしゃぶりを与えていますが、歯に悪い影響はあるのでしょうか?
離乳が終了する1歳半ぐらいに、おしゃぶりに頼らないで済むようになれば理想的ですが、4歳以降のお子さんの場合は、指しゃぶりやおしゃぶりは、あまり気にしなくて大丈夫です。
いろいろな説はありますが、おしゃぶりをしていても、それで歯並びが極端に悪くなることは少ないとされています。
今は大丈夫。でもずっと続けると
ただし、もう少し大きくなって、永久歯が生える直前まで、お子さんが指しゃぶりを続けている場合は、出っ歯や開咬(奥歯を咬みしめたときに、前歯や横の歯が咬み合わない状態)といった歯並びの乱れの原因となることがあります。
指しゃぶりが原因で開咬になってしまうと、咬み合わせや発音に異常がおきる場合もあります。
そのため、4歳をすぎたら、指しゃぶりをしないように、しつけるほうがよいでしょう。
また、永久歯が生えるころになっても、指しゃぶりがなおらない、歯が咬み合わないなどの異常が見られた場合は、早いうちに小児歯科医にご相談ください。
口唇裂・口蓋裂と診断されました。
口唇裂:くちびるが割れた状態
口蓋裂:上あごが割れた状態
口唇裂・口蓋裂は500人に1人の確率でおこる症状です。原因は遺伝的要因、ホルモンやビタミン異常といった環境的要因などが考えられていますが、現時点では、はっきりした原因は確定されていません。今は妊娠中の超音波検査などで出産前に口唇蓋裂と診断されることも多いですので、きちんと知識をもって、赤ちゃんを迎えてあげましょう。
口唇裂・口蓋裂の治療
口唇裂は生後2~3ヵ月のときに、口蓋裂は1歳をすぎたころに外科手術が必要となります。
また、歯並びに異常が出ることが多いので、乳歯の生えそろう3歳ぐらいから経過観察をはじめるとよいでしょう。通常、矯正歯科治療は自費診療となるのですが、口唇裂・口蓋裂の方の場合、保険適用となり、また条件によっては、自治体が一部治療費を負担してくれる場合もありますので、利用するとよいでしょう。
いつまでたっても歯が生えてきません。
通常、お子さんの歯は生後6ヵ月ぐらいに生えはじめて、3歳ぐらいには臼歯も含めて20本の歯が生えそろいます。歯が生える時期には、個人差があるので、あまり心配される必要はありませんが、1歳を過ぎても歯が生えてこないようでしたら、かかりつけの歯科医または小児歯科医にご相談ください。
原因としては、くる病、先天性甲状腺機能低下症(クレチン病)、ダウン症をはじめとするなんらかの全身疾患や先天性欠如歯、あるいは埋伏歯・癒着歯などが考えられます。
先天性欠如歯はすべての歯が生えてこない(存在しない)場合と、1~数本の歯が生えてこない(存在しない)場合があります。歯が数本足りないままの状態が続くと、歯並びや咬み合わせがおかしくなる可能性が高くなります。早い段階で、小児歯科や矯正歯科を受診することをおすすめします。
おやつは、どんなものがいいですか?
甘いお菓子の取りすぎは、虫歯のリスクを高め、生活習慣を乱れさせます。
甘いものがお口のなかにある時間だけ、歯は溶けていきます。ダラダラと食べてしまうもの、歯に詰まりやすいものなどは避けたほうがいいでしょう。甘いお菓子をおやつにするときは、いっしょにお茶などを与え、お口のなかに甘いものが長いあいだ残らないように工夫しましょう。
おやつ(間食)は、食事の栄養を補うようなものを、決まった時間、決まった場所で与えるのがベストです。また、いったん歯が溶けると(お口のなかが酸性に傾く)、もとの状態に戻るのに時間がかかりますので、回数も少なく抑えるように気をつけてください。歯の健康を考えると、栄養のバランスのいい果物、虫歯予防に効果のあるキシリトールガムなどが、理想的なおやつです。
キシリトールが虫歯予防に効果的な理由
キシリトールは白樺やカエデなどの樹木からつくられる天然素材甘味料で、虫歯予防に効果があります。 また、フッ素と併用することで、さらに虫歯予防効果がアップします。
砂糖など
砂糖は、ミュータンス菌の栄養となります。そのため、過剰に摂取して、お口の中を不衛生な状態にしていると、ミュータンス菌の増殖を促進してしまいます。
さらにお口の状態を不衛生にしていると、歯垢(プラーク)の中で増殖したミュータンス菌が、酸を作り出し、歯のエナメル質を溶かし始めてしまいます。
キシリトール
キシリトールは、ミュータンス菌が砂糖のように栄養にすることはできないため、酸が発生しません。それだけでなく、酸を中和する働きがあります。
だ液を出やすくし、お口の状態を虫歯になりにくくします。また、歯垢(プラーク)の発生を抑え、歯磨きの効果をアップさせます。
乳歯がグラグラしています!取っても大丈夫ですか?
簡単に取れそうならば、取っても問題ありませんが、まだあまりグラグラしていないのに強引に取ると、歯肉を痛めますので気をつけてください。
また、昔ながらの糸をかけてとる方法も、あまりおすすめしません。正常に歯が生え変わっている分には、ゆっくりとご自分のペースで抜けるのを待ってください。
また、乳歯が取れたあとも、多少の出血は当然ですので、ご心配はいりません。
乳歯が抜けずに痛い場合、抜けたあと長いあいだ血が止まらないという場合には、歯科を受診してください。
永久歯が、変なところから生えてきた!
永久歯が、通常生える場所とは違うところから出てきたら、歯科に相談してください。その上の乳歯は、下から永久歯が押す力がないので、そのまま生え変わらないことが考えられます。
また、歯並びが大きく乱れている場合は、矯正歯科医に相談されることをおすすめします。
乳歯が虫歯でボロボロ! 心配です……。
まず、歯ブラシの仕方、食生活などを見直してください。また、虫歯菌の数はある程度の年齢で決まってしまうので、虫歯リスクの高い体質ということも考えられます。
乳歯は、永久歯と比べて歯の組織が弱く、虫歯が進行しやすいので、早い時期に小児歯科を受診しましょう。歯の根っこが膿むような重度の虫歯の場合、その下の永久歯まで虫歯になったり、変色したりすることがあります。
歯が後ろから、もう一本生えてきた!
過剰歯
赤丸の部分が過剰歯
通常の歯の数よりもたくさんは生えてくる歯を過剰歯といいます。
約3~5%のお子さんに見られ、男のお子さんに過剰歯が見られるケースが多いようです。とくに上の前歯の後ろは、過剰歯が発生しやすい箇所といわれています。
過剰歯をそのままにしておくと、歯並びに影響を与える可能性がありますので、生えていたらすぐに抜歯をおすすめします。
先天性欠如歯
先天性欠如歯
逆に、生まれつき歯が足りないことを、先天性欠如歯といい、約7~10%のお子さんに見られます。
過剰歯とは違い、永久歯が生えそろうまで気づかれない方も多いのですが、歯が生えてこないままにしておくと、咬み合わせやあごの骨の成長に影響を与えることもあります。歯科医に相談しましょう。
あごが歪んでいるように見えるのですが……
あごの形自体が歪んでいる顎変形症
あごの形は正常で顎関節がズレていることによるものか(顎関節症)、あごの形自体が歪んでいるものか(顎変形症)によって治療法も異なります。
口を開けると音がする、あごの関節が痛い、口を大きく開けられないといった症状があれば、顎関節症の可能性があります。原因が特定されてはいませんが、咬み合わせやストレスなどが原因のひとつとされています。
まず、顎関節の負担を軽くする スプリント療法で治療し、それでも改善されない場合は、咬み合わせの治療なども必要になります。
お子さんのあごの歪みは、早めに歯科医か矯正歯科医にご相談ください。
学校の歯科健診で、歯並びの悪さを指摘されました。
歯並びは、お子さんによってさまざまですが、咀嚼機能が原因で食生活に問題が起きたり、明確な発音がしづらかったりして、ご本人が気にされている場合は、お子さんの心とからだの健康のため、なんらかの対策をとる必要があります。
歯並びによっては、早期に矯正歯科治療をおこなえば最小限の治療で済む場合がありますので、気になる場合は、矯正歯科医へ相談されることをおすすめします。
矯正開始時期と治療期間反対咬合(受け口)
学齢 | 処置と方針の目安 |
---|---|
~3歳 | 反対咬合は目立ちやすいため、小さいうちからご心配されることが多いようです。 |
幼稚園 | 前歯が永久歯に生え変わるときに自然と治る割合は10%程度と低いため、早期・初期治療としてマウスピース状の装置を用いて舌とくちびるの圧力を調え、咬み合わせを改善します。 また必要な場合は、あごの骨の成長発育のコントロールをおこなっていきます。 |
小学校 | 【前歯1~2本の軽度の反対咬合】 低学年のうちに反対咬合を矯正してしまいます。また永久歯が正しい位置に生えるよう、乳歯を抜く場合もあります。 【顕著な反対咬合】 乳犬歯が他の歯よりも早く咬み合う場合は、乳犬歯を抜いて、下あごの位置を調整します。 |
中学校・高校 | 【咬み合わせが原因の反対咬合/軽度のあごの骨の問題がある反対咬合】 あごの骨の成長を観察しながら、咬み合わせや歯の矯正歯科治療をおこなっていきます。 ▼抜歯をしない場合 ▼抜歯をする場合 【あごの骨の成長に著しい問題がある反対咬合】 外科処置をすることを念頭に、それまではあごの骨の成長について経過観察をおこないます。 |
18歳~ | 【咬み合わせが原因の反対咬合/軽度のあごの骨の問題がある反対咬合】 咬み合わせや歯の矯正歯科治療をおこなっていきます。 【あごの骨の成長に著しい問題がある反対咬合】 外科手術を前提とした矯正歯科治療をおこないます。 |
上顎前突(出っ歯)
学齢 | 処置と方針の目安 |
---|---|
幼稚園 | 虫歯の治療と並行して、指しゃぶり、唇をかんだり、吸ったりするクセなどを治し、自然に口を閉じる訓練をおこないます。鼻やのどの病気がある場合は、小児科もしくは耳鼻咽喉科で治療をします。 |
小学校 | 幼稚園児までの治療方針に加え、咬み合わせの治療や前歯の位置、あごの骨のコントロールをおこないます。 |
中学校・高校 |
この時期は永久歯列が生え揃ったあとなので、前歯の位置やあごの状態に問題があれば、咬み合わせの治療や、あごの骨について矯正歯科治療をおこないます。場合によっては抜歯をして、歯を並べます。 ▼抜歯をしない場合 ▼抜歯をする場合 |
18歳~ | 【あごの骨の成長に著しい問題がある上顎前突】 外科手術を前提とした矯正歯科治療をおこないます。 |
開咬
学齢 | 処置と方針の目安 |
---|---|
幼稚園 | 舌のクセ、食べ物をのみ込むときのクセ、口呼吸、指しゃぶりといったクセをとります。 |
小学校 | 従来の治療方針に加え、あごの成長をコントロールしながら経過観察をおこないます。 |
中学校・高校 | 従来の治療方針に加え、歯並びを整えていきます。 将来的にあごの骨の外科手術が必要かどうか観察を続け、無理な歯の移動はおこないません。 |
18歳~ | 歯を並べ、咬み合わせを改善します。
【あごの骨の成長に著しい問題がある開咬】 外科手術を前提とした矯正歯科治療をおこないます。 |
叢生(八重歯・乱ぐい歯)
学齢 | 処置と方針の目安 |
---|---|
幼稚園 | 前歯が永久歯に生え変わるまでは、経過観察をおこないます。特に、永久歯に生え変わるときに叢生になると予測される歯を虫歯にしないように予防します。 |
小学校 | 低学年では、永久歯の前歯が出てくるスペースを確保するために、乳歯を早めに抜くことがあります。 |
中学校・高校 18歳~ |
歯列を拡大したり、歯を並べるスペースをつくるために抜歯したり、奥歯を後ろのほうに下げたりして、歯を並べていきます。 |